常國寺 仏教いろは塾
◇ 其の2:リンの響き
・リンを鳴らす意味
お仏壇で合掌する前に、リンを鳴らすことはありませんか。何となく鳴らしたくなってしまいますよね。さて、リンを鳴らすことは、どのような意味があるのでしょうか。
リンには、お寺のキン(鏧)、サハリと同様の役目があります。キン・サハリは、読経の前後や中間に定められた作法で打ち鳴らす仏具です。お寺では、他にも、梵鐘(ぼんしょう)や喚鐘(かんしょう)があり、法要の合図となったり、時を知らせる合図となったりしております。
リンや鐘のルーツを探ると、「カネを打つ」というのは、お釈迦様が説法を説く時の合図であったといわれております。また、鐘を鳴らすことは、説法を聞く者集合の合図であり、人々をとりまく煩悩は、鐘の音で停止すると説く経典もあります。
鐘の音といえば、平家物語の「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」という一節を思い出します。鐘の音が、無常を呼び覚まし、聞法へのいざないとなることが表されています。
リンや鐘の音を聞くと、シャンと改まった、厳かな気分になりますよね。日常とは違った場所に導かれるような心地になります。リンを何となく鳴らしてしまうのは、自らが落ち着いた気分になりたいからかもしれませんね。このように厳かな心地でお経をいただくと、お経の説く法を素直に受け取ることができるようになるのでしょう。ですから、お寺でお経を聞く前、お仏壇で自ら読み・自らに聞かせる前にリンや鐘を鳴らします。
・リンの使い方
リンや鐘を打ち鳴らすことは、法を聞く、お経をいただく合図でありまして、仏様を呼ぶ合図ではありません。お寺で、キンやサハリを打ち鳴らして、合掌だけすることはありませんよね。お仏壇で、お経を読む前後にだけ、リンを音が中・小・大となるように三打ずつ鳴らしてください。
(2009年5月)
常國寺衆徒 浅尾妙綾